「小道・B」  ここから広がる道は、一体どこへ続いているのだろう。  私の道は、どこへ続いていくのだろう。  今はまだ不安を抱えたままだけど。  恐れずに行こう。 『道が無ければ創ればいい』 「遅い!」  ざぁ、と風が木々を揺らした。ぱたぱたと翻るプリーツスカート の裾を気にしないで、私は、下を睨み付けた。学校の東門から斜面 に走っている階段は、非道く急で、ここを利用する生徒は、少なか った。誰だって、この階段を毎朝使えと言われたら躊躇するだろう。 「そんな……こと……言ったっ……」  はぁはぁ、と荒い息をつきながら、あと僅か数段、といったとこ ろで足を止めたそいつ。 「はぁ、はぁ」 「だらしない」 「しょうがないだろ。こいつはほんとになってやしない」 「うるさいな、前よりは楽になったんだってば」 「は、どうだか」  そいつの後ろから現れた体格の良い人影は、くしゃくしゃとそい つの髪の毛を掻き回した。 「いつまで経っても体力つかねーやつ」 「うるせー」  膝から手を離したそいつは、言った。 「どーせ、オレは軟弱だよっ」  それだけ呟いて、たん、たん、たん、と階段を登ってくると、私 の隣に来て、言った。 「チャイムには間に合うようになったんだから」 「今日はチャイムは鳴らないけどな」    ぼそり、と呟かれた声に、う、と怯んだ表情を見せる。 「ま、いいさ」  癖毛を整髪料で立たせた彼は小道の向こうの校舎を見て言った。 「行こうぜ」  私は頷いて、彼とそいつと歩き出した。 「ところで鍵は?」 「ほら、ここに」  ちゃりん。  そいつはポケットから取り出した。 「うわ、ホントに持ち出してるし」 「うるさいなー。言い出したヤツに言えよ」 「あら、それは誰かしら?」 「おまえだろ、おまえっ」  びし、と指をつきつけられた。  ゆう 「悠が思いつきで言うから」 「それを聞くおまえもおまえだよなぁ」 「……うるさいな」  立ち止まって。  ふと、見えてきた校舎を眺めた。  季節は――春、だった。